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女子高生を平手打ち!アゴが外れる大けがで全治一か月の体罰を与えたソフトボール部顧問の「言い分」とは

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廊下にたたせる・竹刀でたたくなど、一昔前の教師による体罰に「暴行」や「傷害」ときちんと名前がつくようになった現代。

SNSの普及で問題行為が大衆の目につきやすくなり、子どもなど弱者が不条理な目にあうことも減ってきた…と思いきや。大変残念な事件が起きてしまいました。

なぜ教師は女子生徒のアゴが外れるほどの「体罰」を行ったのか?その言い分は?

一緒にみていきましょう。

なぜ女子生徒に体罰を?アゴが外れるほど平手打ちした男性教師の驚くべき言い分とは

暴力を受ける女性コロナ禍で多くのスポーツやイベントが制限される時代に開催できたソフトボール地区大会で、耳を疑うような事件が起きました。

男性教師はなぜ女子生徒を平手打ちしたのか?事件に対する学校側の対応は?

詳しく調べてみました。

事件の経緯

2022年9月24日、兵庫県姫路市上郡町で開催されたソフトボールの地区大会会場にて事件は起きました。

ソフトボール部顧問である男性教師(41)が、部員である女子生徒(16)の頬を平手打ちしたんです。その衝撃は、女子生徒のアゴが外れてしまうほど。

さらに、自らの手で大けがさせた女子生徒に対して5時間も暴言を浴びせ続けたんです。

教師は生徒を叩いた後、「帰れ!お前なんかいらん!」と暴言を浴びせたという。

【引用元】忘れ物に激怒し平手打ち…女子生徒のアゴ外れる 部活顧問が体罰「お前なんかいらん!」精神的ショックで登校不能に(FNNプライムオンライン) – Yahoo!ニュース

アゴが外れる重傷をおった女子生徒は、泣きながら帰宅。翌日曜日も女子生徒は大会会場に行きましたが、ここでもお尻を2回蹴られ、頭を叩かれました。

土日に起きた出来事について女子生徒の保護者は男性教師に面談を求め、週明けの26日夜に男性教師は学校へ体罰の事実を報告。

報告を受けた姫路女学院高等学校は10月1日に保護者説明会を開き、当該の件について謝罪しました。

 

しかし、たび重なる体罰に女子生徒の精神的ショックは大きく、今も登校できていません。

外傷性開口障害とは?何科?治るまでどれくらい?

男性教師の平手打ちにより、女子生徒は外傷性開口障害により全治一か月の大けがと診断されました。

外傷性開口障害とは、いったいどのような状態なのでしょうか。

開口障害とは「口が開きにくい状態」をさします。なんらかの理由により、開口筋や神経、顎関節が正常な状態でなくなることで口も本来の動きができなくなるんですね。

今回は「外傷性」なので平手打ちの衝撃からアゴが外れ、アゴ周りの関節や筋肉に支障がでたと考えるのが自然でしょう。

外傷性開口障害は、多くが歯科・口腔外科で治療することになります。顔の一部ですし、症状が出たらできる限り早い受診が望ましいです。

しかし、今回は平手打ち後に5時間近く暴言をはかれているので、受診までに時間がかかっていそうで心配ですね。

 

治療機関は2週間~3ヶ月程度、場合によっては完治に1年近くかかるケースもあるようです。

男性教師が体罰をした「言い分」と事件後の学校の対応

男性教師はなぜ女子生徒に体罰を行い、さらに5時間も暴言を吐き続けたのでしょうか。

事件が起きた24・25日、現地ではこんなことが起きていました。

  1. 24日、姫路女学院高等学校のソフトボール部は地区大会へ出場
  2. 女子生徒の母親は男性教師に電話で「娘がユニフォームを忘れた」と伝える
  3. 男性教師は忘れ物に腹を立て、母親に「1発どつきますよ(たたきますよ)」と話す
  4. 母親は「おまかせします」と返答
  5. 電話後、男性教師は女子生徒を平手打ち
  6. さらに「帰れ」「お前なんかいらん」「ベンチにはいるな」と5時間以上暴言を浴びせ続ける
  7. 女子生徒は泣きながら帰宅(この時点でアゴは外れていた)
  8. 翌日、女子生徒が男性教師の許しをえようと大会会場へ
  9. 男性教師は女子生徒に「お前は必要ない」といった主旨の暴言をはく
  10. さらにお尻を2回蹴り、頭をたたくなど体罰を行った

男性教師が女子生徒に体罰・暴言を行った理由は「ユニフォームを忘れたことに腹をたてたから」。あまりに身勝手で幼い理由に、耳を疑う人も多いと思います。

忘れ物は誰だってしてしまうことです。重なれば注意や指導は必要かもしれませんが、そこに暴力も暴言も必要ありません。

それなのに体罰後に女子生徒を病院へ連れていくこともなく、翌日さらなる暴行・暴言…。

さらに悪質だと感じるのは、母親からの電話に「1発なぐる」と断りを入れていること。

母親から許可がでれば、体罰を容認されるとでも思ったのでしょうか。母親もまさか本当に殴るとは思わなかったはずです。

自分が腹を立ててふるう暴力を後々責められないための行動だったとすれば、教師以前に人として人格が疑われますね。

 

男性教師の行った「体罰」や暴言について、姫路女学院高等学校は10月1日に保護者説明会、3日に会見を開きました。

【姫路女学院高校 摺河祐彦校長】 「心からおわびを申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。生徒に熱心な、熱血漢な教員でございましたので、そういうことをなぜしてしまったのか、私自身も戸惑っているところです」

【姫路女学院高校 実谷亮介参与】 「同じような被害にあった生徒が他にいっぱいいて、それを隠しているということはない。今のところ今回の事案に関して、それに派生するような体罰事案はないと認識しています」

【引用元】「どついていいですか?」教師が女子生徒を平手打ち 顎が外れる大けが 学校側は「他に体罰はなかった」(関西テレビ) – Yahoo!ニュース

校長にすら厳しい教師だったということですが、厳しさは手を出すことの免罪符にはなりえません。どのような理由や都合があろうと、体罰は許されない行為です。

高校側は体罰の事実を認め、調査を続けるとともに当該男性教師の懲戒処分を検討しています。女子生徒側は3日に兵庫県警へ被害届を提出する方針とのことです。

今回の事件への声や意見

保護者からの信頼をうけ、大切な生徒を預かり育む立場であるはずの教師による「体罰」事件に、怒りの声が多く上がっています。

高校側の懲戒処分を検討するという対応に

「なぜ検討?すぐに処分しないのか」「体罰という言葉でごまかされた傷害事件」

といった声も見られました。

現在自宅謹慎中の男性教師は、学校へ報告後「自分を見失っていた」「申し訳ないことをした」と話したそうです。

しかし、どれだけ謝罪しても女子生徒の受けた体罰がなかったことにはなりません。

本来なら青春を全力で楽しめるはずの高校生活、女子生徒は残りの時間を今までどおりに過ごすことは難しいでしょう。本当に許せない行為です。

懲戒処分になった教師が再び教壇にたつことはあるのか?

女教師の話を真剣にきく生徒たち今回の事件で、高校側は当該男性教師の懲戒処分を検討している、と発表しています。

この話から以下の事情について気になる人、結構多いのではないでしょうか。

体罰や交通事故など事件を起こした教師が再び教壇にたつことがあるのか?

教師は聖職…なんて呼ばれることもありますが、悪いことをすれば裁かれることに変わりはありません。

法的な処分であれば検察が下しますが、それとは別に教師としての立場上の処分を教育委員会が下します。

懲戒処分の種類(軽い順)

  • 戒告…将来を戒める目的で文書または口頭で行われる失態や過失・責任についての確認や注意・指導
  • 減給…俸給の月額1/5以下に相当する額を1年以下の期間減らす
  • 停職…1年以下の期間の出勤停止(停止期間は無給)
  • 免職…民間企業の「解雇」に該当

男性教師にどの処分が下されるかまでは発表されていませんが、どれにしても重大な処分であるのは間違いないでしょう。

訓告・厳重注意は、管理者・監督者から部下に対して行われる指導や措置を指します。こちらは国家公務員法に基づく懲戒処分に該当しません。

なお、私立学校は公立学校の懲戒基準を参考にしているようです。

私立学校の場合はそれぞれの学校法人が定めた就業規則に基づき懲戒処分が決められることになります。
公立学校の教師の懲戒基準がそのまま適用されることはないと思われますが、参考にした上で処分が決められると考えられます。

また、私立学校の教師であっても、公立学校の教師において懲戒免職処分となる理由(例えば、性犯罪など)で解雇された場合には、教員免許が取り上げられることになります(教師職員免許法11条1項)。

【引用元】元検事の弁護士が教員(教師)が逮捕された際の対応について解説

上記引用にもありますが、懲戒処分の重さや法的処分によっては教員免許が剥奪される場合もあります。

教員免許が剥奪されるケース

  • 懲戒免職処分とされた時
  • (懲戒免職に相当する処分により)解雇された時
  • 禁錮以上の刑に処される時

戒告・減給・停職であれば、教職を解雇されたわけではありません。なので、今の学校で教師を続けたり、あるいは遠い学校で再就職して教師を続けられそうです。

また、懲戒免職処分により教員免許を剥奪されたとしても、教員教職免許法により最短3年で再取得が可能。

単純に法的な面では「懲戒処分を受けた教員が再度教壇にあがることは可能」なんです。

 

これだけ聞くと、結構不安が増しますよね。しかし、現実はそう甘くないので大丈夫ですよ。

文部科学省から学校の採用部門に提供される「あるツール」が、懲戒処分を受けた(元)教員の安易な再採用を防いでくれています。その名も、官報情報検索ツール。

官報情報検索ツールは教員希望者が過去に懲戒免職処分を受け、免許失効・取上げになったことがあるかを確認できるツールです。

ツール内の情報には処分された理由もあるので、その人が何をやらかしたか一目でわかるようになっているんですね。

記載される処分理由の種類

  • 幼児、児童生徒へのわいせつ行為またはセクハラ
  • それ以外のわいせつ行為またはセクハラ
  • 交通法規違反または交通事故
  • 教員の職務に関して行った非違行為
  • その他

学校の採用担当者が必要な手続きを行えば、直近40年分の処分履歴を確認することができます。

このツールがあれば、仮に教員免許の再取得に成功したとしても、履歴書の段階でお断りすることも可能でしょう。

過去に教師にあるまじき行為で処分された人を安易に採用するリスクが、かなり減少できそうですね。

 

いわゆる「教師の不祥事」は昔であれば(程度にもよりますが)

  • 県外など遠くの土地へ転勤・赴任
  • いったん退職して、ほとぼりさめたら再就職

など可能だったかもしれません。実際、子どもの頃に「あの先生、最近見ないな」なんて記憶がある人もいると思います。しかし、これは本当にむかしむかしのお話です。

現代ではニュースで報道され、報道がなくともSNSなど情報共有の場で話題にあがり、学校名や実名など広く知れ渡ります。

処分の程度によっては国で情報共有され、同様の事件・事故の再発防止対策も講じられています。

 

不誠実な行為を働いた教師が再度生徒たちの前に立つ機会は、限りなく減らせる時代がもう来ているのかもしれませんね。

まとめ

ソフトボールの試合会場に座り込む女子選手生徒にとって部活動の時間は仲間たちと過ごし、将来につなげていく大切な育みの時間です。

そんな時間に、身勝手な理由から大人に傷つけられる子どもたちの心情を思うと、本当にただただ怒りがわいてきます。

多くの教師が同じでないとは思いますが、今後同様の事件が起きないことを願うばかりです。