人口のおよそ8割に普及したとされるスマートフォン。その利用に欠かせない存在となったモバイルバッテリーは、今や生活必需品といっても過言ではありません。
そんなモバイルバッテリーで、実はこんな衝撃の出来事が…!
【ご注意ください】
「猛暑が続いていますが、昨年の夏に30分間モバイルバッテリーを車内に放置した結果がこちらです」。焼け焦げた車のシートの写真を載せたツイッター投稿が注目を集めました。
ダメ!猛暑の車内にモバイルバッテリー、30分後の衝撃…真っ黒焦げ https://t.co/BcqeK2ICxg pic.twitter.com/m2kGqtkOHL
— withnews (@withnewsjp) July 9, 2022
ダメ!猛暑の車内にモバイルバッテリー、30分後の衝撃〝真っ黒焦げ〟 「衝撃」「圧力」「熱」に注意喚起(withnews)https://t.co/uSSqj3VwAz
リチウムイオンバッテリーは大変デリケートな製品で、制御回路のおかげで通常は安定して使えますが、少し間違うと簡単に爆発します。皆様ご注意を。— パソコン教室・キュリオステーション志木店【公式】 (@curioshiki) July 8, 2022
モバイルバッテリーが発火?車のシートが丸焦げに!?
何がどうしてこんなことが起きたのか、調べていくうちにこんなことがわかりました。
モバイルバッテリーが車内放置で発火!原因は?詳しくまとめました
今回の発端は、とあるツイートから始まりました。
猛暑が続いていますが、昨年の夏に30分間モバイルバッテリーを車内に放置した結果がこちらです。みなさんはお気をつけください pic.twitter.com/HGS1MU6VDH
— 中嶋あずさ📷フォトグラファー (@ausan_info) July 1, 2022
座席の半分が黒こげになった写真は見た人に衝撃を与え、当該ツイートは20万いいね・10万リツイートを超える反響をよびました。
私たちの生活にあまりにも身近な車での発火…なぜこのような事態が起きてしまったのでしょうか。
事故の経緯
こちらの元ツイートの方は2021年8月に車で外出、買い物中に30分~1時間ほど車から離れたそうです。そして、戻ってきた時に車内での火災を発見。
車内は外から一目でわかるほど白煙に満たされており、中がどうなっているのか判別できないほどでした。
煙のニオイが周囲に充満する中、車のドアを開けてみると黒こげの助手席が…。
その後、元ツイートの方は消防と警察へ連絡。幸い炎は車内にとどまっていたため、周囲への影響はありませんでした。車はそのまま修理工場へ搬送されたそうです。
この際、消火活動にあたった消防署の担当者から
「原因は、車内に置いたモバイルバッテリーの破裂である可能性が高い」
と指摘されたことが、本ツイートでの注意喚起につながったんですね。
事故が起きた2つの原因
なぜモバイルバッテリーは、車内に数十分放置されたことで燃えてしまったのか?
原因は、
- 炎天下の車内温度は想像以上に高かった
- モバイルバッテリーは熱に弱い
この2つにあります。
1つ目は、炎天下の車内温度の高さが想像を超えていたこと。
車に普段乗る人であれば、真夏の車内がまるでサウナのようになってしまうことは周知の事実だと思います。
しかし「具体的に何度まで上昇するのか」、知らない人は多いのではないでしょうか。
JAFが2012年8月に行った調査によると、直射日光下の真夏の車内では最高温度が57度まで上がることがわかっています。
テスト1:サンシェード装着や窓開けなどの対策で、車内温度の上昇は防げる?
温度計測器を用いて、各車両の車内温度の変化を測定した。
車内最高温度 車内平均温度 ダッシュボード最高温度 対策なし(黒) 57℃ 51℃ 79℃ 対策なし(白) 52℃ 47℃ 79℃ サンシェード装着 50℃ 45℃ 52℃ 窓開け(3cm) 45℃ 42℃ 75℃ エアコン作動 27℃ 26℃ 61℃
車の状況や地域による部分も大きいので、一概に全ての車内がこの温度になるわけではないでしょう。
しかし、調査時の気温は35度。2022年現在はこれを上回る気温が続くこともあるため、さらに車内の温度は上昇しやすいと考えるのが自然です。
車内温度はエアコン停止後、5分と立たずに急速に上昇していきます。そして上昇しつづける熱は、何かしらの対策を行わない限り、容易に下がりません。
身近でありながら知らない人が多いこの事実が、事が起きた1つ目の原因になります。
2つ目は、「モバイルバッテリーが熱に弱い」事実を軽く見ていたこと。
モバイルバッテリー発火による事故については、実は以前から定期的な注意喚起がされています。
消費者庁に寄せられたモバイルバッテリーの事故情報は、2013年から6年の間に162件。うち半数の78件が発煙・発火・過熱であり、39件は実際に火災まで及んでいます。
今回ツイートした方も、たびたび報道されるモバイルバッテリーの事故について認識しており、普段から気に留めていました。
それでもどこか「自分は大丈夫だろう」という意識があったのかもしれません。高温の車内にモバイルバッテリーを置き、事故は起きてしまいます。
経験するまでは所詮他人事…というのは、誰にでもある感覚でしょう。しかし「当事者になるかの一線は常に足元にある」ことは日々忘れないようにしたいですね。
熱に弱い?リチウムイオン電池とは
ところで、そもそもなぜモバイルバッテリーは熱に弱いのでしょうか?それにはメインパーツである「リチウムイオン電池」が深く関係しています。
リチウムイオン電池とは、正極(プラス)と負極(マイナス)の間をリチウムイオンが移動することで充放電できる電池のことです。
電池に使われるリチウムは小さくて軽いため、従来よりコンパクトで寿命の長い電池の実現が可能になりました。
この性質から、リチウムイオン電池は私たちの生活に欠かせない電気製品にも幅広く使われているんです。
リチウムイオン電池が使われているもの
- 携帯電話
- 音楽プレーヤー
- ゲーム機
- デジタルカメラ
- ノートパソコン
- モバイルバッテリー
- 携帯型扇風機
- ドローン
- 電気自動車
- ドライブレコーダー(バッテリー内蔵タイプ) etc
リチウムイオン電池は何故燃える?
今や私たちの生活にも根付きつつあるリチウムイオン電池ですが、なぜ発火事故が起きてしまうのか?
実は、リチウムイオン電池は衝撃・圧力・熱の3つにとても弱いんです。
強い衝撃や圧力、または周囲の気温により電池が危険温度に達することで、電池の構造が壊れて内部がショートしてしまいます。
リチウムイオン電池が正常な状態でいられる最高周囲温度は45℃。よって、45℃を超えると「危険温度」となります。
電池内部がショートすると液漏れや発熱・破裂などを引き起こし、発煙や発火事故につながってしまうんです。
リチウムイオン電池に使われる電解液は、第四類第二石油類危険物に該当します。灯油や軽油同様、取扱や管理に専門の資格が必要な危険物なんです。
そんなものが知らぬ間に発火してしまったとしたら…車内が黒焦げになるのも納得いきますね。
第四類第二石油類危険物:1気圧において、引火点が21℃以上70℃未満の引火性を有する液体。
その後、車はどうなった?
今回の事故で内部が燃えてしまった車は、残念ながら全損で廃車になってしまったそうです。
バッテリーから発火したと思われる炎は助手席を貫通しており、車内の天井も焼いていました。炎や煙による損傷は、おそらく見えない部分にも影響していると考えられます。
修理費用を払うより、全損で廃車・買い直した方が安く済んだのでしょうね。かかる金額を想像すると、ちょっと怖いです…。
モバイルバッテリー以外でも同じことは起きる?
リチウムイオン電池が使われる製品でも、今回と同様の事態が起きる可能性は十分にあります。
予期せぬ事故を防ぐためにも、車内に何か持ち込む時は「リチウムイオン電池が使用された製品か」確認しておくとよいでしょう。
また、高気温が発火事故につながる可能性があるものは、リチウムイオン電池だけではありません。
高気温が発火につながるおそれがあるもの
- ライター
- スプレー缶
- 消毒用アルコール
- ガスボンベ
- ペットボトル etc
これらを車に積むときは、必ず「長時間置かないこと」「降車時に車内放置しないこと」を守った行動をこころがけましょう。
モバイルバッテリーで知っておくべき2つの常識とは
事故の原因となったモバイルバッテリーですが、現代の生活必需品であることは否めません。
どんなものでも、正しく理解し、正しく使うことで事故は未然に防げるはず。そこで、モバイルバッテリーについて知っておきたい2つの常識について、詳しくまとめてみました。
モバイルバッテリーを安全に長持ちさせるには?
モバイルバッテリーに使われるリチウムイオン電池も電池ですから、いつか必ず寿命がきます。
少しでも安全に長持ちさせるために、次の2点を守ってみてください。
- 使用環境・保管環境に気をつける
- 充電したまま、または残量0%のままにしない
先述のとおり、モバイルバッテリーは衝撃・圧力・熱に弱いもの。丁重に持ち運ぶのはもちろん、気温が高くなりやすい場所に放置することはさけましょう。
また、充電完了後も充電したまま放置したり、残量0%の状態で放置することもリチウムイオン電池の劣化につながります。
充電が終わったらすぐケーブルを外し、残量が0になったらすぐ充電してあげるとよいでしょう。
モバイルバッテリーに使われるリチウムイオン電池の寿命は、およそ充放電500回程度と言われています。1日1回使い切って満充電するとして、およそ1年強。
1日でも長く、事故もなく安全に使っていきたいですね。
モバイルバッテリーの正しい捨て方は〇〇!
長く安全に使いきって寿命をむかえたモバイルバッテリー。こちら、捨てるときにも注意が必要です。
昨今、ゴミ収集車や集積場で発火が増加しています。その原因の1つとして、各地方自治体ではリチウムイオン電池の混入をあげ、正しい捨て方を呼びかけている状況です。
これは、本来あるべきではないゴミの中に混在したリチウムイオン電池製品が収集や圧縮の過程で破損⇒発火してしまうため。
モバイルバッテリーとか電子たばことかの充電式のものは絶対に可燃ごみに入れないでね!おはようございます!ゴミ清掃員の滝沢です。友達の清掃車が燃えたこともあるし、僕も見つけて取り出したこと何度もあるよ!清掃員の命に関わるから、よろしくねー!#ゴミ清掃員の日常
— マシンガンズ滝沢 (@takizawa0914) July 3, 2022
発火事故を引き起こさないためにも、正しい捨て方を知っておきましょう。
まず大前提として、リチウムイオン電池含む小型充電式電池は自治体のゴミ収集品対象外です。どのゴミ区分でも、ゴミ収集車に圧縮されれば火事の元になってしまいます。
しかるべき処置の上、指定の回収ボックスへ廃棄してください。
小型充電式電池の捨て方
- 充電池の端子部分をテープなどで絶縁する
- JBRCのリサイクル協力店へ行く
- 黄色の小型充電式電池リサイクルボックスへ投函
JBRC:2001年施行「資源有効利用促進法」に基づき、小型充電式電池のリサイクル活動を会員と共同で行う団体。
小型充電式電池の回収・再資源化を推進しています。
捨て方やリサイクルボックスの場所など、自治体によって細かな部分は違います。事前に自分の住む地域のHPで確認しておくと安心ですよ。
モバイルバッテリーは、「リサイクルボックスへ」。正しく捨てて、不要な事故を未然に防ぎましょう。
まとめ
いまや1家に1台どころか、1人2台や3台持っていても不思議ではないモバイルバッテリー。
生活に深く根付き始めている今、不要な事故を招かないよう、正しい使い方や捨て方を知っておくことが大切ですね。